弁護士コラム

【弁護士コラム】不要な不動産を放棄することはできない?

2026.05.19
【弁護士コラム】不要な不動産を放棄することはできない?

相続によって不動産を取得したものの、「使う予定がない」「遠方にあって管理が難しい」といった理由から、できれば手放したいと考える人は少なくありません。

特に近年は、空き家問題や管理が難しい土地の増加により、「不要な不動産を放棄したい」という相談が弁護士事務所にも多く寄せられています。

しかし、不動産を単独で放棄することは原則としてできません。ここでは、不要な不動産を放棄できるのか、そしてどのような対応方法があるのかを解説します。

不動産だけを放棄することはできない

相続では、被相続人(亡くなった方)の財産は、預貯金や不動産、株式などを含めてすべてが一体として相続人に引き継がれます。そのため、「預貯金は受け取りたいが、不動産だけは不要だから放棄したい」というように、特定の財産だけを選んで放棄することはできません。

相続財産を放棄する場合は、家庭裁判所に対して「相続放棄」の手続きを行う必要があります。しかし、この手続きは相続財産のすべてを対象とするため、一部の財産だけを放棄することは認められていないのです。

そのため、不要な不動産が含まれている場合でも、預貯金などのプラスの財産がある場合には、相続放棄をするかどうか慎重に検討する必要があります。

相続放棄には期限がある

相続放棄には期限があります。原則として、「自己のために相続があったことを知った日から3か月以内」に家庭裁判所へ申述しなければなりません。この期間を過ぎると、原則として相続を承認したものとみなされてしまいます。

そのため、相続財産の中に不要な不動産が含まれている場合は、できるだけ早く財産の内容を確認し、相続放棄を検討する必要があります。特に空き家や土地などは固定資産税や管理責任が発生するため、放置すると負担が大きくなる可能性があります。

相続放棄後も管理義務が残る場合がある

相続放棄をした場合でも、すぐに不動産の管理義務から解放されるとは限りません。民法の規定では、相続放棄をした人であっても、次の相続人や相続財産管理人が決まるまでの間は、その財産を適切に管理する義務が残る場合があります。

例えば、相続放棄をした後に空き家が倒壊したり、近隣に被害を与えたりした場合、管理が不十分であったと判断されると責任を問われる可能性もあります。そのため、相続放棄を検討する場合は、管理責任についても理解しておくことが重要です。

不要な不動産を手放す方法

不要な不動産を手放したい場合には、いくつかの方法が考えられます。

まず、売却が可能であれば、不動産会社を通じて売却する方法があります。市場価値が低い場合でも、条件によっては買い手が見つかることもあります。

また、相続人同士で協議を行い、他の相続人に取得してもらう方法もあります。遺産分割協議によって、不動産を特定の相続人が取得する形にすることで、管理負担を軽減できる場合があります。

さらに近年では、一定の条件を満たす場合に国へ土地を引き渡すことができる制度も整備されています。ただし、利用には条件があり、すべての土地が対象になるわけではないため注意が必要です。

このように、不要な不動産への対応方法は状況によって異なるため、早めに専門家へ相談することが大切です。

まとめ

まとめ

相続によって取得した不動産であっても、「不要だから不動産だけを放棄する」ということは原則としてできません。

相続放棄は、預貯金やその他の財産を含めたすべての相続財産を対象とする手続きとなるためです。また、相続放棄をした場合でも、次の管理者が決まるまでは一定の管理義務が残る可能性があります。

不要な不動産を抱えてしまうと、固定資産税や管理責任などの負担が長く続くこともあります。相続財産の内容を早めに確認し、相続放棄や売却などの対応を検討することが重要です。

判断に迷う場合は、弁護士などの専門家に相談し、状況に応じた適切な方法を検討することが望ましいでしょう。

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