弁護士コラム

【弁護士コラム】引き取り手のない遺体と法律

2026.10.14

近年、高齢化や単身世帯の増加に伴い、「亡くなった後に遺体を引き取る人がいない」というケースが増えています。このような場合、どのような手続きが行われ、誰が対応することになるのでしょうか。背景には親族関係が希薄化した現代の世相や、未婚率の上昇があります。

ここでは、引き取り手のない遺体に関する法律上の扱いについて分かりやすく解説します。

引き取り手がいない場合とは

一般的に、人が亡くなった場合には、遺族や親族が遺体を引き取り、葬儀や埋葬を行います。しかし、身寄りがない、親族と連絡が取れない、または親族が引き取りを拒否した場合は、遺体を引き取る人がいない状態となります。

このようなケースでは、通常の手続きが進められないため、法律に基づいて行政が対応することになります。

 

法律に基づく行政の対応

引き取り手のない遺体については、「行旅病人及行旅死亡人取扱法」などに基づき、自治体が対応を行います。

まず、遺体の身元確認や親族の調査が行われ、それでも引き取り手が見つからない場合には、自治体が葬儀や火葬を実施します。これらの費用は、原則として公費で賄われます。

また、必要に応じて公告が行われ、広く関係者に情報提供がなされることもあります。

 

行旅死亡人としての扱い

引き取り手のない遺体は、「行旅死亡人」として扱われることが多く、身元が不明である場合や、身元が判明していても引き取り手がいない場合に適用される制度です。そのため行政が一定の手続きを経て対応する仕組みになっています。

公告を行ったうえで、一定期間内に名乗り出る人がいなければ、自治体が火葬を行い、その後の遺骨の保管や合葬などの対応が進められます。

 

財産がある場合の取り扱い

亡くなった方に財産がある場合には、その取り扱いも重要な問題となります。

まずは相続人の有無が調査され、相続人がいれば通常の相続手続きが行われます。

一方、相続人がいない場合には、家庭裁判所によって相続財産管理人が選任され、財産の整理が行われます。

最終的に相続人がいないことが確定した時には、残った財産は国庫に帰属することになります。

 

現代社会における課題

現在、引き取り手のない遺体の問題は、単なる個別の事例ではなく、社会全体の課題となりつつあります。

高齢化や未婚率の上昇、地域社会のつながりの希薄化などにより、今後もこうしたケースは増加すると考えられています。

そのため、「自分には関係ない問題」と考えるのではなく、誰にとっても起こり得る問題として理解しておくことが必要です。

 

生前にできる対策

このような事態を避けるためには、生前の準備が欠かせません。

例えば、信頼できる人に自分の意思を伝えておくことや、死後事務委任契約を利用して葬儀や手続きを任せることが挙げられます。

また、遺言書を作成しておくことで、財産の行き先などについて自分の意思を明確にすることができます。

生前にこのような対策を行うことで、自分の希望に沿った形で死後の対応を実現することが可能になります。

 

不安がある場合は専門家へ相談を

引き取り手のない遺体に関する問題は、法律や手続きが複雑です。また、手続きだけでなく、個人の生活や人間関係にも深く関わる問題でもあります。

将来に不安がある場合には、早めに弁護士へ相談することで、自分に合った対策を検討することができ、事前の準備が安心につながります。

まとめ

まとめ

引き取り手のない遺体については、法律に基づいて自治体が対応し、葬儀や火葬が行われます。また、財産がある場合には相続財産管理人による手続きが進められます。

現代社会では誰にとっても無関係ではない問題になっています。生前からの早い備えが重要です。不安がある場合には専門家へ相談し、対策を講じておきましょう。

TEL06-6655-1236

お問い合わせ