弁護士コラム

【弁護士コラム】賃借人の孤独死 原状回復は誰に請求できる?

2026.07.17
【弁護士コラム】賃借人の孤独死 原状回復は誰に請求できる?

賃貸住宅において賃借人が室内で亡くなった場合、とくに孤独死のケースでは「原状回復費用は誰に請求できるのか」という問題が生じます。

通常の退去とは異なり、相続や保証契約が関係するため、貸主や管理会社にとっても判断が難しい場面が少なくありません。

ここでは、賃借人が亡くなった場合の原状回復の考え方と、請求できる相手について分かりやすく解説します。

賃借人が亡くなった場合、原状回復義務はどうなるのか

賃借人が亡くなった場合でも、賃貸借契約が直ちに消滅するわけではありません。法律上、賃借人の権利義務は相続人に引き継がれるため、原状回復義務についても相続人が承継することになります。

したがって、室内の清掃費用や損傷した設備の修繕費など、賃借人が負担すべき原状回復費用については、基本的に相続人に対して請求することが可能です。

ただし、請求できる範囲には一定の制限があります。原状回復義務は、あくまでも賃借人の故意または過失によって生じた損傷に限られるのが原則だからです。

孤独死の場合、どこまで原状回復を請求できるのか

自然死そのものは、賃借人の過失とはいえません。そのため、死亡したという事実だけを理由として、すべての修繕費用を相続人に請求することはできません。

しかし、発見が遅れたことによって室内の損傷が拡大した場合には、その損害が原状回復の対象となる可能性があります。たとえば、体液によって床材が損傷した場合や、強い臭気が残った場合など、通常の使用では生じない損傷については、原状回復費用として認められることがあります。

もっとも、その範囲については個別の事情によって判断されるため、貸主の判断だけで請求を進めるとトラブルになることもあります。できるだけ専門家の助言を受けながら慎重に対応することが必要です。

相続人がいない場合や相続放棄がされた場合は?

孤独死のケースでは、相続人が見つからない場合や、相続人が相続を放棄をすることも少なくありません。このような場合には、原状回復費用の回収が難しくなる可能性が高まります。

その際に重要となるのが、連帯保証人の存在です。賃貸借契約において連帯保証人が設定されている場合には、未払い賃料だけでなく、原状回復費用についても保証人に請求できる可能性があります。

ただし、保証契約の内容によって請求できる範囲が異なるため、契約書の確認が必要です。

原状回復をめぐるトラブルを防ぐために

賃借人の孤独死は、貸主にとっても相続人にとっても大きな精神的負担となる問題です。そのため、原状回復費用をめぐって感情的な対立が生じることも少なくありません。

特に、どこまでが原状回復の対象になるのか、誰に請求できるのかといった問題には法律的な判断が必要になります。早い段階で弁護士に相談することで、これらのトラブルを未然に防ぎ、早期解決によって双方の精神的負担を軽減することにつながります。

まとめ

まとめ

賃借人が孤独死した場合、原状回復費用は原則として相続人に請求することになります。ただし、自然死そのものは過失とはいえないため、請求できるのは通常の使用では生じない損傷に限られます。

また、相続人がいない場合や相続放棄がされた場合には、連帯保証人に請求できる可能性がありますが、契約内容の確認が不可欠です。孤独死に関する原状回復の問題は、法律的にも非常に複雑になりやすいため、判断に迷った場合には早めに弁護士へ相談することが大切です。

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