弁護士コラム

【弁護士コラム】空き家問題と信託について

2026.03.30
【弁護士コラム】空き家問題と信託について

近年、日本では空き家の増加が大きな社会問題となっています。相続によって実家を引き継いだものの、住む人がいないためそのまま空き家になってしまうケースは少なくありません。空き家を放置すると、建物の老朽化や近隣トラブル、固定資産税の負担など様々な問題が生じる可能性があります。
こうした空き家問題の解決方法の一つとして、近年注目されているのが「信託」という制度です。ここでは、空き家対策としての信託の考え方について解説します。

信託とはどのような制度か

信託とは、自分の財産の管理や処分を、信頼できる人に任せる仕組みです。財産を持っている人(委託者)が、管理を任せる人(受託者)に財産を託し、その財産から利益を受ける人(受益者)のために管理・運用してもらうという制度です。

近年では「家族信託」と呼ばれる形で、家族の間で財産管理を行うケースが増えています。例えば、高齢の親が所有している不動産について、子どもに管理や処分を任せるといった形です。

この仕組みを利用することで、将来の空き家問題への対策として活用することができます。

空き家問題と信託の関係

空き家問題が発生する背景には、相続や高齢化の問題が大きく関係しています。

例えば、高齢の親が一人で実家に住んでいる場合、将来的に施設入所や入院などによって家が空き家になる可能性があります。また、親が認知症になった場合、不動産の売却や管理が難しくなることもあります。

不動産の売却や賃貸などの重要な判断は、本人の意思能力が必要とされるため、認知症などで判断能力が低下すると手続きができなくなる場合があります。その結果、空き家のまま長期間放置されてしまうことも少なくありません。

信託を利用すれば、あらかじめ財産管理を任せる人を決めておくことができるため、こうした問題を防ぐことができます。

信託を利用するメリット

空き家対策として信託を活用する場合、いくつかのメリットがあります。

まず、財産の管理者を明確にできる点です。信託契約によって受託者を決めておくことで、不動産の管理や売却などの判断をスムーズに行うことができます。

また、将来の認知症対策としても有効です。本人の判断能力が低下した場合でも、受託者が信託契約に基づいて財産の管理を行うことができます。

さらに、相続を見据えた財産管理ができる点も特徴です。信託契約の内容によっては、財産の承継方法をあらかじめ決めておくことも可能です。

信託を検討する際の注意点

もっとも、信託は契約内容を適切に設計する必要があり、専門的な知識が求められる制度でもあります。

例えば、信託の目的や受託者の権限、財産の管理方法などを明確にしておかなければ、後になってトラブルが生じる可能性があります。また、不動産の登記手続きや税務上の問題についても検討が必要です。

そのため、信託を利用する場合には、弁護士や司法書士などの専門家に相談しながら進めることが重要になります。

まとめ

まとめ

空き家問題は、相続や高齢化と密接に関係しており、今後ますます重要な課題になると考えられています。信託を活用することで、将来の空き家の管理や処分について、あらかじめ対策を講じることが可能になります。

特に、認知症による財産管理の問題や、相続後のトラブルを防ぐ手段として、信託は有効な制度の一つといえるでしょう。

空き家の管理や将来の財産承継について不安がある場合には、早めに専門家へ相談することが大切です。信託の活用を含め、自分の状況に合った対策を検討することで、将来のトラブルを防ぐことにつながります。

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