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今回は“相続させたくない人”がいる時の対応について解説いたします。
限定承認とは?
限定承認とは、相続する財産の範囲内で被相続人の債務も受け継ぐことを言います。
例えばですが、相続する財産が200万円の宝石と1500万円借金であり、相続人が形見として宝石を受け継ぎたいという場合、限定承認の手続きを行い債務者に200万円を支払えば、宝石を受け継ぐことができるというものです。
また、限定承認には期限が定められており、相続があったことを知ったときから3か月以内に手続きを行う必要があります。
相続権を勝手に奪うことはできません
家庭環境や家族、親族間の人間関係などから、特定の相手に遺産を渡したくないと考える方は珍しくありません。
しかし、民法ではすべての法定相続人は平等であると定められており、相続制度には被相続人の思いを尊重する一方で相続人の生活を保障するという目的もあるため、相続人から相続権を勝手に剥奪することは原則的に難しいと考えられます。
相続させたくない人がいる場合の対策方法は?
では、相続させたくない人がいる場合は、どのような対策方法があるのでしょうか?
次でご説明していきます。
1.遺贈や死因贈与などにより、財産をすべて他人に贈与して相続できる遺産をなくしてしまう。
ただし、相続させたくない人が被相続人の配偶者、子や孫(直系卑属)、父母や祖父母(直系尊属)である場合は遺留分権利者となるため、遺留分侵害額請求をされると定められた割合の金銭が支払われることに留意しましょう。
2.遺言により、相続させたくない人の相続分はゼロであるという指定をしておく。
ただし、1と同じく相続させたくない人が遺留分権利者である場合は、遺留分を侵害することはできません。
3.被相続人の意思により、相続権の廃除をして、相続させたくない人の相続権を奪う。
ただし、「被相続人に対して一方的な虐待や、重大な侮辱を加えたとき」「その他の著しい非行があったとき」という要件を満たす必要があり、ここで言う推定相続人の行為とは「被相続人の財産、精神などに害を及ぼす行為」でなければならないとされます。
4.相続欠格制度により相続権が喪失する。
相続が発生した後、相続人に明らかな犯罪行為があったケースにおいて、その相続人の相続権を喪失させることを相続欠格制度と言います。
次のような相続欠格事由に該当する行為をした相続人は、自動的に相続権が剥奪されることになります。
・故意に被相続人や、先順位・同順位の相続人を殺害、または殺害しようとしたため刑を受けた者
・被相続人が殺害されたということを知ったうえで、これを告発せず、または告訴しなかった者
・詐欺や強迫により、被相続人が遺言を作成、取り消し、変更することを妨げた者
・詐欺や強迫により、被相続人に遺言を作成、取り消し、変更させた者
・被相続人の遺言を、偽装、破棄、変造、隠匿した者
ここまで、相続させたくない人がいる場合の対策方法と相続欠格制度についてみてきました。
しかし、相続権を剥奪する行為は、相続人間の関係やその相続人の将来の生活にも大きな影響を及ぼすことですので、判断に迷われる場合は一度専門家に相談されることをおすすめします。